小さなミツバチたちが、約50日という短い一生で一匹が集められる花蜜や樹蜜は、わずかティースプーン一杯ほど。
ミツバチの活動範囲はおよそ2kmから3km。そこから都会の中の自然を見つけ出して蜜を集めます。
その地域、そしてその時期に咲く花々の蜜によって出来上がるハチミツの味わいもさまざまです。
養蜂というと、田園の広がる牧歌的な風景を想像するかも知れませんが、実は都会のハチミツは驚くほどに高品質。
というのも、大規模な田畑がないため蜜源に農薬の悪影響はほとんど皆無。
よって、ミツバチたちが大阪市内で蜜を集め、上質なハチミツを届けてくれるのです。
緑が少ないと言われる大阪ですが、高層ビル群やマンションがひしめく梅田・四天王寺の周辺にも、都会のささやかな蜜源があります。
古くから信仰を集める神社仏閣の境内で枝葉を伸ばす立派な樹木、川べりで生い茂る野草や、公園の花壇、ベランダのガーデニング、街路樹の植え込みなど、季節ごとに花を咲かせる多くの植物やハーブなどが息づいています。
繊細にして豊か。ピュアでフレッシュな都会のハチミツ。
とろりとまろやかな質感に、ふわっと広がって鼻に抜ける芳醇な香り。まったりと甘やかでいながら、後口は爽やかで、漲るような満足感。様々な植物から収穫したハチミツは、上品かつ繊細な美味しさです。
ただ、ミツバチプロジェクトは採蜜を一番の目的にした事業ではありません。なので、ハチミツはプロジェクトを支える副産物として捉えています。
だからこそ収穫量はあまり考えず、可能な限り自然に近い方法で飼育をしています。
例えば、砂糖水などの給餌は行わずにミツバチが集めてきたハチミツを大事に冷蔵庫に保管して
蜜源が無い時期に巣箱に適宜戻してあげる。
薬の使用は限りなく0に近づける。などを実行しています。
採蜜の時期を蜜源の多い4月から7月に限定する事で、ミツバチの生育に影響のない量のハチミツだけを採蜜します。
そしてその時期は大阪の草花が一番華やかな時期です。
しっかり蜜蓋がかかり、糖度が80度くらいになる状態までじっくりと待って採蜜します。
ハチミツは手作業で遠心分離器にかけます。
その日に採蜜したハチミツは他の日に採蜜したハチミツと混ぜることをせず、丁寧に手作業で常温のまま漉して不純物を取り除きます。
小さな瓶一つを詰めるのに5分以上かかる事もありますが、加熱するとビタミンやミネラル、大事な酵素や華やかな香りも損ねてしまいます。
採れたての芳醇な味わいをそのまま生かして、加熱をせず、何も加えず、世界基準を超える糖度を持ちながら、後味も軽やか。
日本のハチミツ自給率はわずか約7%と言われています。
さらに非加熱無添加の純正生ハチミツは3%に満たないとも言われます。
そんな稀有で安全な生ハチミツというものを知ってもらう事もプロジェクトの目的です。
安心でき、生産者の顔が分かる、そして美味しい地産のハチミツを提供する。
これもプロジェクトの大事な活動です。